大自然の中で猟を楽しみながら、なおかつ経営に結びつける生き方。長野県下水内郡栄村にある秋山郷のマタギの主人が教えてくれたウサギ猟。

2010年の冬に長野県の栄村にある秋山郷という集落にフィールド調査に行った時のことです。

そこの宿で自分はマタギの末裔と言っていた主人に話を伺っていた際に、輪俵(わだら)という道具の話を聞きました。

輪俵とは藁で作ったフリスビーのようなものです。

その話を聞いた際、ウサギを捕まえる際に猟師の自然に対する知識の豊富さにただただ驚くばかりでした∑(゚Д゚)。

猟をを行う際は動物の習性、天敵、棲家などを把握しながら技術を駆使して獲物を追い込んでいくのが大事なんだなと感じました。




秋山郷の野ウサギは木の下にある穴を棲家としています。

ウサギは天敵の音に警戒している時は、穴の入り口にいます。

野ウサギの天敵は主に人間のような陸上動物と鷹のような空中動物に分けられ、それぞれで逃げる方法を使い分けています。

例えば人間が近づくと穴から出て、一目散に外に逃げていきます。

なぜなら穴の中に逃げ込むと、木の下をスコップなどで掘られて捕まえられることを知っているからです。

逆に鷹が近づいてきた時は、穴の中に逃げ込みます。

鷹は視界が広く、外に逃げる方がより危険であることを知っているからです。



この習性を利用して昔の人は輪俵という道具を作りました。

この輪俵をウサギに向かって投げることで、鷹の羽音と勘違いさせるのです。

ウサギは頭の上に輪俵を投げられると驚いて身動きがとれなくなったり、穴の中に慌てて逃げ込んだりするそうです。

こうして容易にウサギを捕まえることができるそうです。

秋山郷で猟をする人も今はめっきり減りましたが、そうした昔から伝えられた自然の知識は口承や民俗資料とともに今に残っています。



そのマタギの末裔の主人は民宿を経営していて、猟でとってきた獲物をお客に出しています。

このご馳走と猟の話が民宿のウリになっています(^^)。

私も野ウサギをご馳走になりましたが、鳥肉に近くて美味しかったです(^^)。

主人は猟や獲物の味の話をするとイキイキし始め、目を輝かせて話をしていました(o^^o)。

猟が、地元の自然が本当に好きで、楽しみながら生きているんだなと感じました(*^^*)。



大自然の中で昔の人の遺産である民俗知識をもって、野生生物と関わりながら自分の経営に結びつける生き方。

いいなと思いました(*^^*)。

秋山郷は険しい山岳地帯の中にあり、豪雪地帯でもありますが自然がとても美しく「秘境」と呼ばれる地です。

稲作はあまりしていませんが焼畑もやっていて、アワやヒエなどの作物が伝統的に作られています。



アクセスが非常に不便ですが、とても素晴らしい所なので是非旅行におすすめですo(^▽^)o。